本庁理事の芦原髙穂氏により自らが代表役員総長の地位にあることの確認を求める訴訟が提起され、東京地方裁判所は昨年12月22日付で芦原理事は神社本庁の代表役員の地位にないとの請求棄却判決(以下「一審判決」)を言い渡しました。これに対し芦原理事は控訴しましたが、6月14日、東京高等裁判所は芦原理事の控訴を棄却する判決(以下「控訴審判決」)を言い渡しました。
控訴審判決は、一審判決に続いて神社本庁の主張を全面的に認め、代表役員総長の選任方法を定める庁規12条2項「総長は、役員会の議を経て、理事のうちから統理が指名する」の趣旨につき以下のとおり判断しました。
控訴審判決は、庁規12条2項の趣旨に関する一審判決の判断のすべてを正当であるとして引用しています。
本判決によれば、昨年6月23日開催の役員会において田中総長を再任する議決がなされているため、実質的に新たな総長は既に田中総長に決定されており、その役員会の判断に基づいて統理による指名が為されるべきであるにもかかわらず、指名が為されていない状態にあることとなります。
宗教法人たる神社本庁として、司法判断に従うことは当然であることから、遅くとも本判決が確定すれば、本庁内部の正式な手続を経ずに芦原理事により行われた代表役員変更登記申請に端を発した総長選任をめぐる一連の混乱状況も、田中総長の再任という形で解決することになります。
なお、芦原理事は、6月15日付で上告及び上告受理申立てを行ったとのことですが、本件の争点は神社本庁庁規の解釈論であり、憲法問題ではありませんので、さほど長期間を要することなく本判決の確定に至るものと見込んでおります。