お正月のあれこれ
お正月のあれこれ
まもなくお正月を迎えます。お正月には、1年を健やかに過ごすため、古くから「歳神さまをお迎えする」習わしがあります。「歳神さま」は、あなたや家族を守ってくれる神さまなのです。しっかりとお正月の準備を整え、清々しい新年を迎えましょう。
12月13日「煤払い」
「煤払い(すすはらい)」は、「大掃除」の原型となっている行事です。いまでは、神社仏閣などで「煤払い」の行事が行われています。各家庭でも、神棚のお掃除をして、伊勢神宮と氏神さま(うじがみさま)の新しいお神札(ふだ)をお祀りする準備をしましょう。そして、神棚をはじめ、徐々に他の場所のお掃除もすすめていきます。
古いお神札は各神社に納め、新しいお神札をいただきます。伊勢神宮のお神札(神宮大麻)は全国の神社で受けられます。
お神札の納め方などの取扱い方が分からない場合は、あらかじめ近所の神社または各都道府県の神社庁に電話などで相談されるとよいでしょう。
- 全国神社庁の連絡先は「神社庁一覧」のページをご覧ください。
12月28日「お正月飾り」
歳神さまをお迎えするため、この頃に門松、しめ縄、鏡餅などのお正月飾りをします。
しめ縄は、その場所が神聖な場所であることを示します。門松は、歳神さまを迎える依代(よりしろ)で、歳神さまはこの門松のある家を目指してやって来るといわれます。鏡餅は、歳神さまへのお供え物として飾ります。
松の内は12月13日から
門松などお正月飾りは、12月13日以降であればいつから飾っても構わないと言われています。しかし、お正月飾りは、ぜひ、余裕をもって整えてください。しっかりとした準備は、何においても大切なこと、歳神さまを迎える気持ちの表れでもあります。
ちなみに29日の飾りは「二重苦」を連想させるとか、30日は旧暦の大晦日で、31日は新年前日で、やっつけ仕事等と捉えられ「一夜飾り」とも言われて、避けた方がよいとされています。諸説ありますが、いずれにしろ余裕をもって準備したいものです。
1月1日〜「初詣」
歳神さまを迎え、まず日々私たちを守り導いてくださる地域の神さま、「氏神(うじがみ)さま」へ参拝しましょう。旧年中の感謝を添え、新年の誓いをたてるのもよいでしょう。
お正月期間中、神社には初詣(はつもうで)に訪れた方々の長蛇の列が出来ることがあります。神社の真ん中でお参りしなければと並ばれることから列となってしまうのですが、どの位置からおまいりしても何ら変わることはありませんので、列を避け脇からおまいりしても構いません。
神社の方が参拝整備などをしている場合は、その指示に従って参拝してください。
昇殿参拝・御祈祷は誰でもできる
また、輝ける新年ですから、神職さんにお祓いをしていただき、社殿の中のより神さまに近い場所でおまいりする「昇殿参拝(しょうでんさんぱい)、別称・正式参拝(せいしきさんぱい)」をするのもよいでしょう。
昇殿参拝をする際は、神さまへのお供えとして幾らか包んで納めますが、神社によって多少違いがあるので、まずは気軽に神職さんや巫女さんにお尋ねください。
また、年の初めに気持ちを新たにご祈願をするのもよいでしょう。ご自身の健康をはじめ、家族が無事に一年間過ごせるように、厄年の方は厄除けを、というようにご祈祷をしていただくことで、清々しい気持ちで年の初めを迎えられることでしょう。
今年の恵方はどっちかな?
恵方とはその年の十干(じっかん)によって定められる、最もよいとされる方角のことです。「十干」というのは、古くから物の分類や順番を表す10種類の記号(甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸)のようなもので、12種類の動物を当てはめた「十二支」を組み合わせて作られたのが「十干十二支」= 干支(えと)です。令和7年は、十干が乙(きのと)で。十二支が巳(み)なので、「乙巳(きのとみ)」となります。
特に恵方にはその年の福徳を司る神、歳徳神がおられるとされています。節分の時に、その年の恵方を向いて願いを心の中で唱えながら恵方巻を無言で食べる風習は、近年は全国で親しまれていますね。昔は、住んでいる場所の恵方にある神社にお参りに行くと縁起がよいと、こぞっておまいりに行ったそうです。
恵方の方角は毎年変わります。今年の恵方はどちらの方角かな、と心を寄せるだけでも気持ちがいいですね。
甲・己 (西暦の下1桁が4・9) …… 東北東
乙・庚 (西暦の下1桁が5・0) …… 西南西
丙・戊
辛・癸 (西暦の下1桁が1・3・6・8) …… 南南東
丁・壬 (西暦の下1桁が7・2) …… 北北西
令和7年は「乙巳」ですから、恵方は「西南西」となります。
氏神さまは、どこ?
お神札やお守りは喧嘩しない
初詣の時にあわせて、お神札やお守りを受ける方も多いはず。古いお神札やお守りは、感謝を込めて神社に納め、受けたお神札やお守りは大切にお持ち帰りください。
- 詳しくは「お神札のまつり方」のページをご覧ください。
お神札やお守りは1つの神社でしか受けてはいけないの?という話も聞きますが、そんなことはありません。
なにせ神社の神さまは、「八百万(やおよろず)」というほど多くの神さまが協力し合っているのです。
氏神さまをはじめ、お気に入りの神社など、さまざまな神社でお札やお守りを受けていただけます。もちろん心をこめて大切に扱ってください。
おみくじの順番は?
おみくじには色んな種類があります。「吉」や「凶」など、吉凶が書かれたものから、その内容から自分で理解するタイプのものまでさまざまで、全国的な統一はありません。
吉凶が書かれた中にも、「吉」「中吉」「半吉」「小吉」「末吉」「半末吉」など、さまざまな記載があり、「大中小」ときて「吉」が来るとか、「吉」は「小吉」より上だとか、「中」には「中ほど」という意味があるから「中吉」は「吉」の半分という意味だとか・・・。
つまり、おみくじには全国統一の順番がないのです。では、順番を知るのにどうすればよいかというと。分からなければ、おみくじをひいた神社の方に聞く!これが一番です。
お正月は神職の方も慌ただしくされています。タイミングを見計らって聞いてみてください。
1月7日/15日「松納め」
「松納め」は、歳神さまをお招きするために飾った門松を取り外す行事です。地域により3日、5日、6日、15日など様々な風習がありますので、その地域の風習を大切にしてください。一般的に関東では7日、関西では15日にお正月飾りを外すところが多く、この時、歳神さまが帰られるといわれます。
古いお神札やお正月飾りは?
地域の分別にしたがって、自治体の回収に出せますが、神さまの依り代となったものですので扱いは丁重に。例えば、お塩を振り清めてから紙などにくるんで出します。大きなものは、小さく切るか折るなどして出しましょう。
焼却施設のある神社やどんど焼き(左義長(さぎちょう))などを行う地域では、受け入れ可能なところもありますが、各家庭のお正月飾りが集まると処理しきれないところもあります。特に神社の場合は、まず電話などで伺ってからにしましょう。
1月11日/15日「鏡開き」
「鏡開き」は、歳神さまにお供えしていた鏡餅を食べる行事です。お供えしていたお餅には、神聖な力が宿ると考えられ、これを食べて1年の無病息災を祈ります。
「鏡開き」は武家の行事にもつながり、刃物で切ると切腹を連想するとして、刃物ご法度という地域もあります。その際は、木槌などで割り、割ることを「開く」というのが一般的な風習となっています。
この「鏡開き」も地域性の強い行事で、一般的には関東では11日、関西では15日に行うところが多いようです。松納めが終わった後に行う風習がいまも多くの地域で残っています。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
お正月の行事は地域性が豊かで、ここに示したことは一例にすぎません。ですから、書かれていることと地域の習わしが違うこともあると思います。その際は、地域の習わしを大切にしてくださいね。
日本は南北に長く、北と南では気候風土は全く違いますし、それぞれの土地で培われた文化や風習も豊かで多彩な国です。
そのような文化・風習は地域の宝です。そして、それはその土地に住む人々の叡智の結集であったりもするんです。そんな風習のある地域に、誇りを持っていただきたいと思います。
そして、先人が家内安全や開運のために伝えてきたお正月行事を、心をこめて、大切に、楽しんでください。きっと素晴らしい日々と、素晴らしい1年がおくれると思います。