神社本庁
自然、それは神―神道からのメッセージ
日本人の心理
古代人の精神生活を現代に伝える神話や伝説は、世界中のどの民族にも存在する貴重な文化遺産です。
和銅5年(西暦712年)に天皇の命を受けて編纂された『古事記』は日本に現存する最古の書ですが、これによりますと、国土や民族の起源を、天地のはじめの混沌とした中に神々がお生まれになり、その最後にお生まれになった男神と女神が夫婦となられ、その間に、国土や自然、日本人の祖先などの神々をお生みになったと記しています。
古代の日本人は、この世のすべてのものを霊的な存在と認識し、神々も、国土や自然も、そして人間も、神から生まれた子であり、お互いの関係も血のつながる兄弟姉妹のように捉えていました。
稲作を中心とする農耕社会では、人間同士はもちろん、山や川、太陽や雨、動物や植物など、すべてが一体となり、協力し合う形を取らなければ成り立ちません。それぞれがそれぞれの役割を担う形で特性を発揮し、互いに足りないところを補い合うことによって、全体として繁栄することができるものと考えました。神々や国土や自然や他の人々を敬い、何よりも調和を重んじる意識が形成されたのです。