神社本庁
神道
祭礼
祭礼、神社での大祭には、社殿での祭儀だけではなく地域社会全体が晴れの日としての神賑わいを示す。各家は注連(しめ。細縄に垂・しでを下げたもの)を巡らして神輿の巡幸を待ち、神社では神輿に神霊の霊璽(神霊の憑代・よりしろ)が移され、地域総代の道触れを先頭に住民代表が続き、馬上の宮司が多くの勢子(神職或いは崇敬者)に担がれた神輿を先導し、更に神宝・稚児・崇敬者などの列が続き、地域の中心部分を巡幸する。街中には数箇所、御輿が止まって氏子が礼拝し、神の祝福を受ける場所が用意されている。多くの大祭は二・三日に及ぶのが普通で、その場合は神社から速く離れた所定の地(お旅所・たびしょ)に神輿は夜を過ごされる。著名な祭の場合には、この間、地域毎に山車(だし)と呼ばれる巨大な飾り車の地域巡回も行われる。これらの山車は、時に二階建て一般家屋の高さを越え、錦織・まん幕などで飾られ、車自体もきらびやかな彫刻が施され、絢爛豪華なものである。夜は軒並み、そして山車もまた提灯を引き回し、昼に異ならぬ明るさを呈し、山車には音曲手や踊り手も乗って、祭は最高潮に達する。キリスト教国に見られるカーニバルの雰囲気と似ているかも知れない。山車は多数の人力によって牽引されるので、引き手も観衆も掛け声を出し、祭はオルギーに達し、時には怪我人さえ出し、喧嘩も起こる。そこに日常の通念は通用しない。日常に鬱積された感情が爆発して、蓄積されたエネルギーが消費され、祭の終わった後の平凡な日常生活が秩序ある形で維持されるのだとも理解されよう。一般の家庭では、日常と異なる祭の食卓が用意され、祭礼は住民にとっての晴れの日である。