絵馬は、祈願の成就を願うものとして参拝者に馴染み深いものでしょう。
今日でも受験シーズンには合格祈願の絵馬が多く奉納されるなど、絵馬は人々の祈りの形を現したものと言うことができます。

馬への信仰が絵馬となって現代へ

祈願の内容を絵馬に記して奉納しますが、これはもともと神々に本物の馬を献上していたことに由来するものです。
『常陸国風土記』、『続日本紀』(しょくにほんぎ)などに、祈雨(きう)、止雨(しう)、そのほかの祈願のために生きた馬を献上していたことが見られ、当時から神々の乗り物として馬が奉献されていたことが分かります。
特に、献上された馬のことは神馬(しんめ)と呼ばれます。
時代とともに、代用として「馬像」やさらに簡略化された「絵馬」が奉納されるようになりました。
また、神輿が神々の乗り物として主に用いられるようになると、神馬はお供するだけとなっていきました。

馬は、古来から人々の生活に深い繋がりをもち、輸送や農耕、軍用など、あらゆる面で大きな役割を果たしてきました。
このことは馬に対する信仰とも結びついていきます。
例えば、平安時代に宮中で行われた白馬節会(あおうまのせちえ)です。
これは正月7日に天皇が白馬を御覧になるという行事ですが、陰陽五行説において白馬は聖なる「陽」の動物のため、これを見ればその年の邪気を祓うことができると考えられたのです。
その後、この行事は各神社においても除災招福の神事として行われるようになりました。

絵馬の変遷

絵馬には本来、馬の絵が描かれていましたが、時代や人々の願いとともに、その内容も次第に変化していきます。
祭礼の模様や干支、病気平癒や芸能上達の祈願が絵に表されるようになるなど、さまざまな絵馬が見られるようになっていきました。

現代も、各地の神社においてさまざまな絵馬が見られます。
神社ごとの絵馬を目にすることも、参拝の楽しみのひとつとしてみてはいかがでしょうか。

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