摂社・末社

摂社と末社の違い

神社の境内では、ご本殿以外に小さな社を見かけることがあります。それらの社には「摂社(せっしゃ)」・「末社(まっしゃ)」の呼称が用いられています。

戦前の旧官国弊社(かんこくへいしゃ)という位の高い神社においては、摂社と末社を区分する基準が設けられていました。

摂社に該当する条件としては、まず本殿御祭神の荒魂(あらみたま)や后神(きさきがみ)・御子神(みこがみ)を祀った社のほか、御祭神と関係のある神や地主神(じぬしがみ)など、特別な由緒がある社としていました。
こうした基準に当てはまらないのが末社であり、摂社は末社より上位に置かれていました。
現在でも摂社・末社の呼称は、戦前の基準による区分をそのまま用いることがありますが、特に本社との由緒の深い神社には摂社の呼称が用いられています。
また、本社と同一の境内地で祀られている境内社と、境内地外で祀られている境外社といった区分もあります。

摂社と末社

別宮とは

このほか、伊勢神宮や京都の石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)などでは、特に本社御祭神と関係の深い社を別宮(べつぐう)と称しています。
伊勢神宮においては、内外両御正宮の他に、これに次ぐ尊い社として両宮それぞれの別宮があります。

また、『延喜式神名帳(えんぎしきじんみょうちょう)』に載る式内社が摂社、『延暦儀式帳(えんりゃくぎしきちょう)』に載る社が末社、両書には記されていないが神宮との密接な関係により古くから祀られてきた社は所管社と呼ばれています。
なお、「伊勢神宮」とは、両御正宮のほか、別宮・摂社・末社・所管社を含めた125社の社の総称をいいます。

用語解説

明治政府により定められた神社の格に関する制度における、官幣社と国弊社の総称。官幣社は神祇官が、国弊社は地方官が祭るものとされた。

霊魂の働き・機能による呼び方のひとつ。荒ぶるような猛々しい働きから発し、積極的・活動的な神霊のはたらきとされる。

延喜5年(905年)から編纂が始められた『延喜式』の巻9・10にて、まとめられた神社の名簿のこと。

延暦23年(804年)に朝廷に提出された、伊勢の皇大神宮と豊受大神宮にかかわる儀式帳のこと。伊勢神宮の社殿や年中恒例および遷宮などの臨時の祭祀について記される。

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