神棚
神棚とは、お神札をお祀りする棚のこと
日本では古くから、お正月にお迎えする年神さまをはじめ、台所には竈神(かまどがみ)さま、井戸には井戸神さまなど、さまざまな神さまをお祀りし、日々の暮らしを支えてくださる神々の恵みに感謝してきましたが、近世以降は、伊勢の神宮のお神札(ふだ)・神宮大麻(じんぐうたいま)と氏神さまのお神札、また特別に崇敬している神社があれば、それらのお神札を神棚等を設け、お祀りすることが一般的となりました。
家庭のお祭りを行う場所が決まりましたら、準備したいものが神棚と宮形です。
宮形は神棚とも呼ばれますが、厳密にはお神札をお祀りする「棚」のことを「神棚」、お神札を納める「お宮を模した入れ物」を「宮形」と言います。
宮形の形や大きさはさまざまですが、お祀りする場所(神棚の幅、高さ、奥行き)を考えて適当なものを選びます。
最近では、洋間に合うデザインの神棚や宮形も多くなってきましたので、住まいに調和したものを探すのもよいでしょう。
神さまを家の棚に祀る原型は、1,300年以上前に編纂された『古事記』の記載まで遡ることのできる日本特有の文化です。各家庭の雰囲気などにあった棚にお祀りするとよいでしょう。特別に神棚を設けられない場合は、まずはお神札をお祀りするだけでもよいので、綺麗に整えた場所でお神札をお祀りしましょう。
地域によっては、伝統的に神棚や宮形を用いずにお神札をお祀りするなど、さまざまな風習もあります。
その際は、地域の伝統を大切にしてお祀りするとよいでしょう。
おまつりする場所
家庭にお神札を祀り、家族がおまいりをする「家庭のお祭り」は、日常生活における一家の中心となる行事です。
お神札をお祀りする場所は、家の内でも家族が集まる清浄なところを選ぶようにしましょう。一般的には、目線より高く、南あるいは東にお神札が面する場所がよいとされますが、重要なのは神さまに失礼ではなく、心を込めてお祀りすることです。
また、家族が親しみを込めて、毎日おまいりのできる場所を第一に考えるのもよいでしょう。
何よりも、尊ぶ心を持って、日々に手を合わせお参りすることが大切です。
ご参考に小冊子(PDF)もご覧ください。
神棚まつりのはじめ方
氏神神社で受けたお神札を大切にお祀りするためには、神棚を設け、宮形に納めてお祀りするとよいでしょう。以下、神棚をしつらえる基本的な方法についてご紹介します。
1.設置場所を決めましょう
―方角は南向きか東向き―
神棚を設置することになったら、家のどこに神棚をしつらえるかを確認しましょう。
清らかで明るく、目線より高いところにしつらえるのがよいと言われ、方角は、お神札をお祀りした時に、お神札の正面が南か東に面する向きにするのが一般的です。
東は日が昇り、南は陽光が最も降り注ぎ、古くからお祭りなどで重要な方角とされてきました。こうした考え方に基づき、家族や家庭の守りの中心である神棚は、南か東向きを原則に、家中で最も清浄な場所を選んでしつらえましょう。
このような場所が見当たらない場合は、家族が親しみを込めて毎日おまいりできる場所を第一に考えると良いでしょう。
2.神棚や宮形を選ぶ
―住まいに合わせたデザインを―
家庭の祭りを行う場所が決まりましたら、神棚や宮形を用意するとよいでしょう。宮形の形や大きさはさまざまですが、おまつりする場所(神棚の幅、高さ、奥行き)を考えて適当なものを選びます。
最近では、現代のインテリアに馴染むデザインの神棚や宮形も多くなってきましたので、住まいに調和したものを探すのもよいでしょう。
お神札をお祀りする場所や神棚の位置、宮形の有無等に捉われ過ぎてお祀りしないより、出来る形でお祀りすることが大切です。
宮形を選ぶ際には、部屋の広さに応じて設置した棚板の横幅と奥行の寸法、または天井までの高さを図り、これに合うものを選ぶようにしましょう。
また、お供えなどを置くスペースも忘れずに考慮しましょう。
始めて神棚を設置する場合や古い神棚を取り換える場合、神職にお祓いをしてもらい、神棚のお祭りを行うとよいでしょう。
宮形選びや神棚のお祭りの際は、氏神神社の神職に相談してみましょう。
3.注連縄(しめなわ)を張りましょう
注連縄とは、神社の社殿や鳥居、神域や祭場の周囲に張り巡らす縄のことで、その内側が神聖・清浄な状態であることを示すものです。
また、注連縄には紙垂を挟み込みます。紙垂は半紙などの紙片を裁断して折ったもので、神聖・清浄であることを示します。
可能であれば家庭の神棚用にも用意するとより良いでしょう。
4.毎朝のお参り前にお供えをしましょう
―基本は米、塩、水―
神棚にお供えする神さまのお食事を「神饌(しんせん)」といいます。お供えする物は米、塩、水を基本として、可能であれば酒などもお供えします。季節の初物や頂いたお菓子などをお供えしても良いでしょう。神社では米や塩は平瓮(ひらか)、水は水器(すいき)、酒は瓶子(へいし)という白色陶製の祭器具(さいきぐ)が用いられます。神棚にもこういった祭器具を用います。
また、神棚の両側には榊(さかき)をお供えします。榊は常に緑を保つ常緑樹で古くから御神前へのお供えに使われてきました。毎日水を取り替えてみずみずしさを保ちましょう。この他、宮形の前に置く神鏡や、神前を明るくするための神灯などさまざまな装飾品があり、いずれも神具店(しんぐてん)で求めることができます。
必ずしも神具店で購入する必要はありませんが、神さまへのお供え物に相応しい美しい器を用いて頂ければよいでしょう。
5.お供えの配置は、正中を重視
古来、中央である正中を尊ぶため、神棚にお供えする際にも中央に米、次に酒、塩、水をお供えします。ただし、棚板等のスペースによってはこの限りではありません。
用語解説
生活に欠かせない食べ物を調理する、火を扱う・かまどなどに祀る神さまのこと。一般的には火の神とされる。
人間が生きていくのに不可欠な水にまつわる神さまのこと。
正月に訪れるとされる神さまで、新しい年に豊かな実りをもたらすとされる。