実施状況の詳細
[背景]
当地では各神社の春祭や秋祭に合せて、獅子舞が氏子の家々を巡る。獅子舞を行うのは各町の青年団や獅子舞保存会で、各世帯を巡る為獅子舞には30名程の人員が必要であり、町内挙げての行事となっている。昨今では獅子舞に参加する青少年が減少し、また獅子舞が「余興」として受け取られる風潮もあり、獅子舞の休止を検討する地域も増えていた。神社側としては、獅子舞が家と地域の邪気を祓うための「神事」であり、祖先たちが地域発展の為に継承してきた「信仰的文化」であることを踏まえて、自治会の経済的・精神的支えが必要であることを社頭講話や講演会など、折に触れて訴えてきた。本務・兼務神社(計15社)に所属する獅子舞団体は、現在32団体が活動している。
[振興対策の指定を受けて]
振興対策の指定を受けたことを契機として、平成25年に獅子舞団体の役員を招集して「有礒正八幡宮獅子舞協議会」を設立した。設立の目的は、獅子舞神事の次世代への伝承保存と獅子舞団体の更なる発展を目指すとともに、各獅子舞団体の相互交流と研鑽を図ることである。
獅子舞協議会の設立行事として、また神宮の式年遷宮を奉祝することを目的として、獅子舞団体が保有する獅子頭を一堂に集める「獅子頭総覧」を開催した。獅子頭の多くは井波彫刻にて作製されており、その表情は個性豊かであり、木彫刻芸術の粋が集められている(作製費1体200万円程)。25年度は32体、26年度は34体の獅子頭が集結し、両年とも獅子舞の奉納が2団体あり、また各町の獅子舞の様子を集めた映像を100インチのスクリーンで放映するなどの企画もあり、両年とも約2,000名の来場者があった。
(獅子舞総覧)
(獅子舞総覧告知チラシ)
経費
25年度
- 収入
協賛金 95,000 円
出店奉納金 6,000円
神社拠出金 158,100円
合計 259,100円 - 支出
印刷代 49,350円
デザイン費 52,500円
映像編集費 26,250円
由緒書製作費 50,000円
祝儀 60,000円
食券費 21,000円
合計 259,100円
26年度 - 収入
協賛金 60,000円
神社拠出金 191,440円
合計 251,440円 - 支出
チラシ印刷代 62,640円
チラシデザイン費 54,000円
由緒書作製費 50,000円
祝儀 60,000円
食券費 24,800円
合計 251,440円
成果
獅子舞協議会を新たに設立したことで、相互の人員補充や団体運営の共有など、団体間の交流が生まれ、獅子舞が活性化してきた。神社側も新たな組織との交流が生じ、祭典の充実につながっている。「獅子頭総覧」を開催したことにより、獅子頭の芸術性と獅子舞を継承することの大切さを改めて実感した、との声が多く聞かれた。氏子地域にある3つの小学校校下の連合自治会の後援もあり、地域を挙げた祭典になってきた。獅子舞の本質(祖先から継承された深い信仰のもとにあること)を理解した青年団からは、獅子舞への勧誘が容易になったとの声も聞かれた。
問題点
出費が嵩むこと
反省点並びに改善案
獅子頭の展示・獅子舞奉納・映像の放映の企画で進めてきたが、新しい企画も提案しながら、「獅子頭総覧」の活性化に努めていきたい。
同種の計画を持つ神社へのアドバイス
本来は神社との結びつきが強いはずの神賑行事も、いつのまにか神社と距離を置くようになってきた。各地域で催される神賑行事を神社が主導して束ねることで、神賑行事の本質を再認識して貰うことを目的として企画した。