実施状況の詳細
平成8年より、地鎮祭における神棚奉斎の意義の教化が重要と考え、色々施策をしてきたが、新興住宅地の神棚奉斎率の結果を見て、もはや地鎮祭において口頭での説明(含む資料配付)にて新規神棚奉斎を促すことは無理であると判断。
地鎮祭の祭壇に仮神棚、神宮大麻、鎮守神社御神札を併せ祀り、清祓をして地鎮祭奉仕の後、施主に頒布した。仮神棚は今の住居(若い夫婦所帯は賃貸住宅が多い)に奉斎いただき、新住居竣功されたなら引っ越しと共に仮神棚も移動し、新居の新築竣功清祓ならびに神棚奉鎮祭を促した。仮神棚はあくまでも仮の物であり、新築に併せて据え置き型の神棚の奉斎を優先されるように付け加える。神棚の場所、方角、電気配線の打ち合わせを建設業者に促す。鎮守神社の由緒書・地図を渡し、「今後、天照大御神ともども地縁の神様がご家庭とご家族をお守りされますのでご崇敬いただきますように」と紹介する。「お祝い」ということでお渡しすると皆、素直に受け取っていただけた。神宮大麻・氏神神社の御神札初穂料は、地鎮祭奉仕初穂料に込めた物として施主から別に納めていただくことは無い。「次年度正月前に新しい御神札に毎年取り替えてください。」と申し添える。
平成22年2月より今日まで実施してきたが神棚を既に持っている方を除いて、神棚授与を断られたことは無い。
経費
1件あたり約1,000円(神宮大麻初穂料を除く)
(1)神宮大麻・鎮守神社御神札
(2)仮神棚700円
(3)教科冊子2冊140円(氏神さまと建築儀礼・神さまと暮らす)
(4)仮神棚解説書(当社作製A3版カラー刷り「今日からの仮神棚・御神札のおまつりの仕方について」)
成果
平成22年2月より実施、地鎮祭奉仕の約130件に頒布した。平成23年1月の御神札集計では増体は見られなかった。まだ建築中、引っ越していない戸数も多く、実際に住んでいてもまだ町内会組織も編成されていないので、頒布体制が整っていないことが理由とも推測される。平成23年中は、昨年とほぼ同数の地鎮祭奉仕の約130件に頒布した。平成24年1月の集計で実質60体の増体が確認された。
問題点、反省点並びに改善案
- 次年度から毎年新年の御神札を受けられて奉斎されるかどうかは不確定要素である。それに対して地鎮祭を受けられた方々に後日、手紙郵送をし、それとなく安否を伺いながら神棚奉斎と御神札の交換を促す施策をする必要があると思う。
- 竣功祭・新築清祓式を勧めてはいるが、当事業施策後に件数が増えた傾向は見えないので、対応策が必要と考えている。
同種の計画を持つ神社へのアドバイス
- 当初、私自身が地鎮祭において神宮大麻、御神札の無料頒布に対して心情的に大きな抵抗を感じていた。御神札は基本的に授かる物、受けるものだと考えているからである。内心の葛藤もあったが、当社の環境や地域性、新興住宅地の対策として、もはや10年以上同じ施策をこうじても進展が見られなかったので思い切って実施した。実施した要因の一つには「簡易神棚」の存在が大きい。御神札だけ渡すと粗末に扱われそうで気が進まなかったのだが、簡易神棚と併せてならまずは落ち着くところに奉斎いただける物と感じるからである。
- 神宮大麻、御神札の無料頒布ではなく、神宮大麻と鎮守御神札の初穂料は地鎮祭奉仕初穂料の中に含めて納めていただいたという考え方、取り扱いをしている。